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posted on 2018.6.1

ルール解説:暫定球(プロビジョナル・ボール)
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塚本 雅彦

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塚本 雅彦

みなさんは暫定球(プロビジョナルボール)についてご存知ですか?
聞いたことがあるけど、実は詳しく知らない‥なんて方も多いかもしれません。

この暫定球というルールは、状況によって対応が様々に変わります。
ぜひこの記事を読んで、きちんと覚えて正しいプレーを心がけましょう。

 

 

そもそも暫定球って何?

ティーショットや通常のショット後に「OBかもしれない」、「ウォーターハザード外で紛失したかも‥」と思ったことがありませんか?
そういう場合は ゴルフ規則 27-2 に基づいて、暫定球 (Provisional Ball) の宣言をした上で別のボールを打つことが出来ます。
その後、最初に打ったボールが インプレーの状態で見つかれば、暫定球は「打たなかった」こととして、無罰で最初のボールをプレーできます。
もしボールが見つからない場合は、暫定球をインプレーのボールとしてプレーを続行できます。
これが暫定球というルールです。

ただし、このルールはあくまでもプレーヤーに与えられる権利であり、義務ではありません。
つまり暫定球を使うかどうかは、プレーヤーに委ねられているということですね。

 

 

なぜ暫定球を打つの?

それは・・ズバリ、プレー時間の短縮のためです。

暫定球を打つ場合のケースとして考えられるのが、例えば「ティーショットがあらぬ方向に飛んでいき、着地点を探したが見つからない」などの場合です。
この場合、見つからない以上は当然打ち直しとなりますが、ティーグラウンド→着地点→ティーグラウンドと、何度も移動しなければなりません。

そうなると、当然プレー全体の進行が遅くなってしまいます。
なので、打球がOBやロストボールになった可能性がある場合に、先に暫定球を打っておくのです。
そうすれば、最初に打ったボールが万が一見つからなくても、元の場所に戻ってプレーし直す必要がなくなり大幅な時間と労力の節約ができるのです。

最初に打ったボールが見つからず、元の位置まで戻って打ち直しをした経験が皆さんにもあるかと思います。
私も経験がありますが、あまり良い気分ではありませんし、暫定球を打っておけばと後悔したこともあります。

 

 

良くある間違い

打ったボールが見つからず(ロストボール)、無くなった付近から2打目を打っているのを皆さんも一度は経験したり、目にしたことがあるかと思います。

ですが、実はこういう処理の仕方はゴルフルールには一切記載されておりません

本来、打ったボールが無い場合は、元位置に戻って打ち直して続行するのが原則です。
なのに、全く違う場所にボールを置いてプレーを続行することは誤所からのプレーとなり、別のペナルティーを科される原因となります。
※誤所からのプレーに関してはゴルフ規則 11-4を参照してください。

 

 

暫定球の手順・宣言

では次に、暫定球の手順について説明します。

暫定球を打つ場合、そのボールを打つ前に事前に今から打つボールが暫定球であることを宣言しなければいけません。
「暫定球を打ちます!」と宣言した際に、識別マーク※1 の情報を同伴競技者に伝えます。
念のため、キャディーさんがいる場合はキャディーさんにも伝えておくと良いと思います。
もしも、この宣言を怠った場合、そのボールは暫定球とはみなされず、初めに打ったボールが仮にインプレーの状態で見つかってもロストボール扱いとなります。
識別情報を周りに伝えていなかった場合、最初に打ったボールと暫定球と思われるボールが仮に近い場所に2つあり、どちらのボールが暫定球か識別出来ない場合は、自分に不利な裁定がされる可能性があるので注意が必要です。

なお、暫定球を打った結果が、再度、ロストボールやOBの可能性のある場合、新たに暫定球の宣言をして、2つ目の暫定球をプレーすることが出来ます。また必要があれば、同様のプロセスで、3つ目、4つ目の暫定球を打つことも出来きます。

※1..識別マーク(ボールの番号や特徴)の注意点
・同じ種類の番号違いのボールを使う等、明らかに違うものであること。
・番号が同じ場合、ペン等で印をつける(数字を丸で囲む)等を事前に行っておくこと。
・最初のボール番号、次に打つボールの番号を正確に周りに伝えること。

 

 

暫定球のケーススタディ

それでは、暫定球について実際のケースを考えてみたいと思います。
インプレーになるケースとそうでないケースなど、違いがあるので、しっかり覚えてくださいね!

 

 

〇暫定球がインプレーになる場合

通常、最初のボールを探します(最大 5分間まで)が、見つからない場合は暫定球をプレーすることになります。
暫定球を打った時点で 暫定球がインプレーのボールとなります。
ただし、暫定球を打ったプレーヤーは初めのボールがあると思われる場所付近に到達するまでは暫定球を何度でもプレー出来ます。
つまり、暫定球を チョロった場合などは(暫定球・宣言なしに)そのボールを打ってから 最初のボールを捜せば良いことになります。
初めのボールがあると思われる場所、またはその場所よりもホールに近い地点に落ちた場合は注意が必要です。
そういう場所から暫定球を打った時は、初めのボールは紛失球となり、暫定球が ストロークと距離の罰のもとに (規則27-1)インプレーのボールとなります。 

 

 

最初に打ったボールが見つかった場合

とりあえず暫定球は打ったものの、最初に打ったボールが見つかったり、 OB ではなかった場合はどうでしょう?

その場合、プレーヤーは暫定球を放棄して初めに打ったボールでプレーを続けなければならないとルールには記載されています。
最初に打ったボールが インプレーの状態で見つかっているにも関わらず、暫定球をプレーした場合は誤球をしたことになり、規則15-3に従って 2打罰が科されます。
さらには競技失格という厳しい裁定もくだされますのでご注意ください。


 

時と場合によっては・・・

一方で、暫定球を宣言しても 最初に打ったボールを捜さずに、すぐに暫定球をプレーすることも出来ます。
それは暫定球を宣言したプレーヤーに最初のボールを捜しに行く義務がないからです。
普通は最初に打ったボールが見つからない場合、暫定球をプレーします。
ですが、仮に1打目のボールが行ったと思われる場所が酷いライで、見つかっても続行してプレーすると不利になる可能性が高い‥などの場合もありますよね。
そういう場合はわざわざ最初のボールを捜しに行かないという選択肢もあります。
ただし、気をつけていただきたいのは、暫定球で次のショットをする前にキャディーや同伴競技者が、最初に打ったボールを見つけてしまった場合です。
その場合はプレーヤーの意思に関係なく、最初に打ったボールをプレーしないといけませんので、注意しましょう。


例えば、パー3のホールで 1打目がロストになる可能性のあるライに入った場合。
とりあえず暫定球を打ってみたらベタピンについてしまった時など、ボールを捜しに行かない方が結果として有利に働く場合もあります。
その際はご自分の判断で決断してみてはいかがでしょうか。
勿論、先に述べたように最初に打ったボールを誰かが親切(苦笑)で見つけてしまった場合は最初に打ったボールをプレーしないといけません。

 

 

良くある間違い

最初に打ったボールを探して見つかった場合、暫定球を拾い上げるときには注意が必要です。
見つかったボールが実は自分のボールでない場合があるからです。

仮に間違ったボールを自分のボールと勘違いして動かしてしまった場合、動かしたことによるペナルティーが科せられます。
暫定球を拾い上げる際には、まずは見つかったボールが間違いなく自分が打ったボールであることを良く確認しましょう。
万が一、間違ってボールを拾い上げてしまった場合には、暫定球があったと思われる所にそのボールをリプレースして、1打罰を加えてプレーを続けなければいけません。

 

 

最後に

公式の競技では関係ありませんが、各ゴルフ場にローカル・ルールとして前進 2打罰(プレイングフォー)で暫定球を打たずにプレーしなければならない場合もあります。
そうした場合は、暫定球が打てない場合もあるのでローカル・ルールを確認した上でプレ一してくださいね。

 

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この記事を書いた人

塚本 雅彦

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塚本 雅彦

ゴルフ練習場勤務21年、ゴルフ会員権業務3年目と、就職して以来ずっとゴルフ業界に携わってまいりました。ゴルフ練習場勤務時代は『お客様に「ありがとう」と言ってもらえるゴルフ練習場』を目指しておりましたが、今度は「ありがとう」と言って頂ける営業マンを目指して日々精進します!
ゴルフの方も、回数はめっきり減ってしまいましたが、毎回ベストスコア更新を目標に頑張っています。
(いつも打ちのめされていますが…)

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